
防爆ドローンは現在、多くのメーカーが実用化に向けて実証実験を加速させている最注目の分野です。
とはいえ、防爆認証の取得や運用ルールの整理など、実用化には高いハードルが存在します。
本記事では、防爆ドローンの概要から避けては通れない技術的課題、そして現在開発をリードする主要メーカー5社を詳しく紹介します。取り組み事例も交えながら解説しますので、作業効率をアップさせるための具体的なヒントとしてぜひお役立てください。
▼この記事を読んで分かること
防爆エリアで業務点検を効率化したい方は、NBKマーケティングにご相談ください。
NBKマーケティングでは、LiLz社の防爆エリア対応カメラやRealWear社の防爆スマートグラスなどを幅広く取り扱っています。
現場環境や点検内容に応じて、最適な機器選定から導入支援、運用定着まで一貫してサポート可能です。まずは、お気軽にお問い合わせください。
当社サービスに関するご質問、お見積のお申し込みなど
お気軽にお問い合わせください
防爆ドローンの概要

現状、石油・化学プラントなどの「防爆エリア」において、一般的なドローンを飛行させることはできません。なぜなら、ドローンの多くは非防爆機器であり、モーターやバッテリーが発火・爆発の原因となる恐れがあるためです。
そのため、現在多くの企業が爆発を防止する防爆構造を備えたドローンの開発を急いでいます。
防爆ドローンが実用化されれば、危険な高所でもプラントを止めずに点検でき、点検頻度と安全性、業務効率を同時に高められます。現状では非危険箇所での飛行に限定されていますが、保安業務の合理化を目指し、実証実験が加速している注目の分野です。
防爆エリアにおけるドローン活用の課題と対策

防爆エリアでドローンを本格運用するためには、既存の防爆指針ではカバーしきれない技術的な壁がいくつか存在します。ここでは、主な課題点と解決策をわかりやすく解説します。
▼防爆エリアにおけるドローン活用の課題と対策
- 課題①|ドローンを構成する部品の防爆構造が明らかでない
- 課題②|ドローンが落下した際に防爆機能が維持されるか分からない
- 課題③|ドローンが設備に衝突した場合に火花が発生する可能性がある
参考:経済産業省「プラント保安分野における 新技術活用に向けた取組」
課題①|ドローンを構成する部品の防爆構造が明らかでない
ドローンの電子部品において、どの部品にどの防爆構造を適用すべきかが明確になっていない点が、実用化を阻む大きな要因です。防爆エリアに持ち込むと、機体の一部が着火源となる可能性を否定できず、現場として安全判断の根拠を持てません。
対策としては、部品ごとに防爆上重要となる仕様を明確化し、設計根拠や試験結果、使用条件を含めて要求事項として整理することが望ましいとされています。
あわせて、改造や部品交換が防爆性能に与える影響を管理するため、構成管理と変更時の再評価手順を運用に組み込む必要があります。
課題②|ドローンが落下した際に防爆機能が維持されるか分からない
万が一ドローンが墜落した場合、衝撃によって防爆性能が維持されるかを現行の試験では十分に検証できない点が課題です。
一般的な防爆機器の試験は設置状態での安全性を前提としており、空中から高速で落下するような過酷な衝撃までを想定した基準が整備されていません。
対策としては、落下衝撃を考慮した設計と試験により、落下後に着火源とならないことを検証するとされています。また運用面でも、落下時に危険物が存在する区域を避ける飛行ルート設定や、立入管理・退避手順を準備し、残留リスクを管理することが求められます。
課題③|ドローンが設備に衝突した場合に火花が発生する可能性がある
ドローンがプラント設備に接触した際、摩擦や衝撃によって火花が発生し、ガスに引火するリスクがある点も深刻な課題です。
軽量化のために用いられるアルミニウムなどの軽合金は、錆びた鋼鉄と強く衝突すると高温の火花を生じやすく、着火源となる危険性があります。
点検作業では設備の至近距離を飛行するため、突風や操縦ミスによる衝突をゼロにすることはできません。金属同士がむき出しの状態で接触する構造のままでは、どれほど内部回路を保護しても、外部的な要因で爆発を誘発する恐れがあります。
対策としては、金属同士の直接的な接触を防ぐことが提案されています。
プラントにおけるドローン活用に向けた取り組み事例

防爆エリアでのドローン活用は、技術開発だけでなく、運用ルールの見直しによっても着実に前進しています。以下では、実運用に即した実証実験の具体的な内容と成果を見ていきましょう。
▼プラントにおけるドローン活用に向けた取り組み事例
- 事例①|JSR株式会社
- 事例②|三井化学株式会社
参考:「経済産業省」プラント保安分野における新技術活用に向けた取組
事例①|JSR株式会社
JSR株式会社では、稼働中の製造設備においてドローンを活用し、目視点検の死角を解消する実証実験を行いました。この取り組みの鍵は、一律に設定されていた「防爆エリア」の範囲を科学的な根拠に基づいて見直した点にあります。
エリアを精査することで、非防爆機体であっても対象設備の至近距離まで安全にアプローチできる空間を確保し、飛行を可能にしました。
実験ではポリブタジエン樹脂製造設備を対象とし、自律制御システム研究所(ACSL)の機体「Mini-GT3」を使用しています。ドローンを飛ばした結果、これまでの地上からの目視では確認が困難だった配管の接続部分などを、高精細な画像で鮮明に捉えることに成功しました。
この事例は、機体性能だけに頼るのではなく、運用側の工夫で点検精度を向上させた好例といえます。
事例②|三井化学株式会社
三井化学株式会社は、巨大なナフサタンクの点検においてドローンの有用性を実証し、従来の点検手法を効率化する可能性を示しました。
従来、こうした大型タンクの点検はゴンドラを設置して作業員が目視で行っていましたが、これには多大なコストと転落リスクが伴います。この課題に対し、ドローンを用いることで、安全性とスピードを両立した点検を実現しました。
その結果、目視では立ち入りが厳しい場所の状況も正確に把握でき、点検画像が極めて高い有用性を持つことが確認されています。
なお、NBKマーケティングでは、こうした防爆エリアでの点検課題に対応するソリューションとしての導入支援を行っています。ドローン活用が難しい箇所や、より高い安全性が求められる現場においても、点検効率と安全性の両立を支援可能です。
防爆エリアの点検効率化をご検討中の方は、ぜひ一度お問い合わせください。
当社サービスに関するご質問、お見積のお申し込みなど
お気軽にお問い合わせください
防爆ドローンの主要メーカー5選

防爆エリアでのドローン活用に向け、国内のベンチャー企業から世界最大手まで、複数のメーカーが開発や実証実験にしのぎを削っています。
ここでは、注目すべき防爆ドローンの主要メーカー5社を紹介していきます。
▼防爆ドローンの主要メーカー5選
- メーカー①|FUTURE DRONE SYSTEMS
- メーカー②|株式会社Liberaware
- メーカー③|DJI JAPAN 株式会社
- メーカー④|OKUMA DRONE株式会社
- メーカー⑤|西部マリン・サービス株式会社
メーカー①|FUTURE DRONE SYSTEMS

引用:古河産業株式会社
| 会社名 | 古河産業株式会社五百部商事有限会社有限会社KELEK |
| 特徴 | ・ドローン本格運用に向けた防爆ドローン開発プロジェクト ・プロペラや機体に先進素材を使用することで、防爆仕様を実現予定 |
| 製品名 | ー |
任意団体FUTURE DRONE SYSTEMSは、ドローンや関連技術に強い複数の企業が集まって設立した共同プロジェクト組織です。プロペラや機体フレームに革新的な先進素材を採用することで、防爆性能と安定した飛行能力の両立を追求しています。
石油備蓄基地や石油精製基地などでのドローン運用を見据え、早期の実用化を目指して取り組みを進めています。日本のプラント保安を支える存在として期待が集まる任意団体です。
メーカー②|株式会社Liberaware

| 会社名 | 株式会社Liberaware |
| 特徴 | ・極小・狭隘空間に特化した産業用ドローン技術 ・過酷環境下でも安定した飛行と高品質な映像取得 |
| 製品名 | 世界最小級のドローン:IBIS2 |
株式会社Liberawareは、ドローンや映像データなどを活用したインフラ点検・3Dモデル化を提供する企業です。
同社が開発する「IBIS2」は、煙突内部や配管ダクト、天井裏といった人間が立ち入れない極小空間の飛行に特化した世界最小級の産業用ドローンです。より過酷な環境でも安全に飛行でき、狭い場所でも安定した操作が可能になるほか、点検に十分な鮮明な映像を撮影できるようになります。
撮影データの解析からデジタルツインによる3D管理までを一気通貫で提供できる点も、高く評価されているポイントです。
メーカー③|DJI JAPAN 株式会社

| 会社名 | DJI JAPAN 株式会社 |
| 特徴 | ・世界トップシェアを誇るドローンメーカーDJIの日本法人 ・導入しやすい操作性と充実した国内サポート体制 |
| 製品名 | ・DJI Mavic 4 Pro・DJI Mavic 3 Pro |
DJI JAPAN 株式会社は、世界の民生用ドローン市場で約7割のシェアを誇る、圧倒的な技術力を持ったリーディングカンパニーの日本法人です。同社の強みは、幅広い産業用途で培われた高度な自律飛行技術と、圧倒的な信頼性を誇る通信システムにあります。
汎用性の高さから、非危険箇所での周辺点検や災害時の状況把握において標準機として広く導入されています。世界中の現場で鍛えられた操作性やサポート体制の充実度は、ドローン導入のハードルを大きく下げてくれるはずです。
将来的な防爆モデルの展開を含め、動向を常にチェックしておくべき最重要メーカーといえます。
メーカー④|OKUMA TECH 株式会社

| 会社名 | OKUMA TECH 株式会社 |
| 特徴 | ・防爆認証に特化したドローン開発と点検ビジネスの推進 ・水素燃料電池を活用した長距離 ・長時間飛行ドローン技術 |
| 製品名 | - |
OKUMA TECH株式会社は、福島県大熊町を拠点に、水素燃料電池を活用した独創的なドローン開発を行うベンチャー企業です。同社の最大の特徴は、従来のバッテリー式では成し得なかった「長距離・長時間飛行」を可能にするエネルギー効率の高さにあります。
経済産業省の「スマート保安導入支援事業」にも採択されている企業です。防爆認証に特化したドローンの開発と、それを用いたプラント点検のビジネスモデル構築を積極的に進めています。
水素を活用した次世代エネルギー技術と防爆対策を組み合わせることで、大規模なプラントの広域巡回点検を自動化する未来を描いています。
メーカー⑤|西部マリン・サービス株式会社

| 会社名 | 西部マリン・サービス株式会社 |
| 特徴 | ・学術機関と連携した高度な点検技術開発力 ・特許取得の水上ドローンによる独自の点検手法 |
| 製品名 | - |
西部マリン・サービス株式会社は、ドローンだけでなく、水上やインフラ点検に強みを持つ企業です。同社は東北大学などと連携した国家プロジェクトに参画するなど、学術機関と密に連携した高度な技術開発を行っています。
特筆すべきは、特許を取得した水上ドローンによる橋梁や桁下の点検技術です。石油プラントや化学工場には水辺に面した設備も多いため、上空だけでなく水面からのアプローチが必要な現場で大きな力を発揮します。
また、同社は令和4年度スマート保安支援事業に採択され、防爆認証特化型ドローンの活用を担う企業です。
まとめ:防爆ドローン以外の方法も検討してみることが大切

防爆エリアにおけるドローン活用は、点検業務の安全性と効率を劇的に高める可能性を秘めています。
しかし、解説した通り「防爆構造の明確化」や「落下・衝突時の安全性確保」といった技術的・法的な課題が多いのが実情です。そのため、防爆エリアでの業務効率化には、他の手法も組み合わせる視点が必要になります。
最新の防爆ドローンの動向を注視しつつ、自社の課題に対して最も現実的かつ安全な手法を柔軟に選定していきましょう。

