
建設から50年以上が経過し、急速に老朽化が進む日本の社会インフラ。多くの自治体や企業が「点検作業員の不足」と「維持管理コストの増大」という深刻な課題に直面しています。
その解決策として今、大きな注目を集めているのがインフラ点検へのAI活用です。
本記事では、インフラ点検にAIが必要とされる背景や具体的な導入メリットをわかりやすく解説します。また、橋梁やトンネルにおける最新の活用事例や、ドローンと組み合わせた点検手法、導入時の重要な注意点まで網羅しています。
インフラ保全の効率化や高度化に向けて、AIや最新技術の導入を検討している担当者の方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
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インフラ点検にAIが必要とされる背景

インフラ点検にAIが必要とされる最大の理由は、急増する老朽化設備への対応と、深刻な人手不足という課題を同時に解消するためです。
1960年代の高度経済成長期に整備された橋梁やトンネルの多くが建設から50年を超え、現在一斉に老朽化のピークを迎えています。一方で、少子高齢化によって点検を担う作業員は減少し続けており、熟練技術者の退職によるノウハウの喪失も深刻化しているのが現状です。
この解決策としてAIを導入すれば、熟練者の判断基準をシステムに学習させることで、経験の浅い担当者でも一定の精度で点検を行えます。
また、過去のデータから劣化リスクを予測する「予防保全」への移行も可能になり、長期的な維持コストの削減にもつながります。
安全で持続可能なインフラ管理を実現するには、AI技術をいち早く取り入れることが重要です。
インフラ点検においてAIを活用するメリット

ここでは、インフラ点検においてAIを活用する3つの具体的なメリットについて詳しく解説します。
▼インフラ点検においてAIを活用するメリット
- メリット①|点検業務の効率化・コスト削減
- メリット②|点検精度の均一化・客観性の担保
- メリット③|人手不足の解消・安全性の向上
メリット①|点検業務の効率化・コスト削減
AIの導入により、インフラ点検にかかる時間とコストを削減できます。
高度な画像解析技術を用いることで、これまで作業員の手で行っていた異常箇所の抽出や、点検調書の作成業務を自動化することが可能です。また、ドローンやロボットが撮影した構造物のデータをAIに読み込ませる手法が主流になりつつあります。
この仕組みを活用すれば、目視点検のために高所作業車を手配したり、大がかりな足場を組んだりする必要がなくなります。
メリット②|点検精度の均一化・客観性の担保
インフラ点検にAIを活用することで、担当者の経験に依存せず、常に高品質で均一な診断結果を維持できます。AIは事前に学習した一定の基準に従って評価を下し、個人のスキルや疲労度による判断のブレが起こらないからです。
目視点検では、暗所や複雑な構造の場所において、微細なひび割れや初期の腐食を見落としてしまうリスクが存在します。しかし、AIによる画像解析であれば、膨大なデータの中から微小な変化も漏れなく正確に検知可能です。
加えて、個人の主観を排除し、劣化具合を客観的な数値データとして記録・蓄積できる点も魅力です。このように、AIをインフラ点検に活用することで、データに基づく戦略的な維持管理体制の構築にもつながります。
メリット③|人手不足の解消・安全性の向上
深刻化する作業員不足を補いながら、点検現場の安全性を高められるのも、AI活用のメリットです。
橋梁の裏側やトンネルの高所、急斜面などでの点検は、滑落や転落、重機との接触など重大な事故リスクと常に隣り合わせです。一方で、ドローンやロボットで撮影した画像をAIが自動診断する仕組みを導入すれば、作業員が危険箇所へ立ち入る必要はありません。
同時に、少人数のチームでも広範囲のインフラ設備を迅速に点検できるようになります。限られた人的リソースで社会基盤を守りつつ、労働災害を防ぐためには、AIの力が不可欠です。
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インフラ点検におけるAIの活用事例

AI技術はすでに様々なインフラ保全の現場で実用化され、確かな成果を上げています。
ここでは、5つの分野における具体的なAI導入事例と、その結果を紹介します。自社の課題解決のヒントとしてお役立てください。
▼インフラ点検におけるAIの活用事例
- 事例①|橋梁点検
- 事例②|トンネル点検
- 事例③|道路・舗装点検
- 事例④|下水道管路点検
- 事例⑤|鉄道インフラ監視
事例①|橋梁点検
石川県七尾市では、橋梁点検のコスト縮減と品質確保を両立するため、AI橋梁診断支援システムを活用した「AI簡易点検」を導入しています。
本事例では、橋長5m未満のBOX橋やRC床版橋など、小規模かつ健全性の高い橋梁を対象に、従来の詳細点検を簡略化しました。写真や諸元情報を入力すると、AIが健全度や劣化要因を判定し、調書作成まで支援します。
実証実験では健全度の正答率86.4%を確認し、その後の実運用では健全度92.9%、劣化要因96.4%と高精度を維持しました。
また、点検単価は従来の約65%に低減できると試算されています。
事例②|トンネル点検
富士フイルムは、トンネル内部のひび割れを人工知能(AI)で自動検出する技術を実用化しました。2025年度からJR東日本の新幹線トンネル検査に全面導入され、検査業務の効率化と鉄道インフラの安全性向上を目的としています。
具体的には、専用車両でレール上を走行しながら撮影したトンネル内壁の画像を、同社の画像解析AIで分析します。
なお、富士フイルムは2018年から、橋梁やトンネルのひび割れを自動抽出するAIサービス「ひびみっけ」を提供。2021年以降はJR東日本と共同で新幹線トンネルに特化したAI開発を進めてきました。
東北・上越・北陸新幹線のトンネル検査に活用され、JR東日本が管理する総延長約400kmのトンネル点検を支えます。
参照:日本経済新聞「富士フイルム、AIでトンネル壁面のひび発見 JR東が導入」
事例③|道路・舗装点検
鹿児島県肝付町では、町道約260kmの維持管理を効率化するため、国際航業の「道路巡回システム」を活用した実証実験を実施しました。
従来は作業員による目視点検が中心で、全線を一巡するのに4〜5カ月を要しており、網羅性や精度に限界があったのが課題です。また、高精度な路面性状調査は費用面の制約から約100kmにとどまっていました。
新システムでは、カメラを搭載した車両で道路を走行しながら撮影した映像をAIが解析し、ひび割れやポットホールを自動検出します。1日あたり約140kmを撮影でき、運転手1人で作業が完結するため、大幅な省力化を実現しました。
検出結果は位置情報とともにGIS上に表示され、道路状況を一元管理できます。AI導入により、コストを抑えつつ町内全域を網羅的に点検できる体制が整い、長寿命化修繕計画の高度化にもつながっています。
参照:自治体通信オンライン
事例④|下水道管路点検
NTT e-Drone Technologyは、神奈川県内の公共下水道管路においてドローン飛行の実証実験を実施しました。NTT-MEおよびNTT東日本と共同で行われ、通信用電波を増幅する仕組みを構築することで、狭隘かつ暗所の管内でも安定飛行を実現。
屈曲部2カ所を含む約150メートルの飛行に成功しました。
屋内用ドローン「ELIOS 3」や汎用機「Skydio X10」で撮影した高解像度画像を、同社のAI解析サービス「eドローンAI」で分析。軸方向および円周方向に伸びるひび割れを高精度に自動検出しました。
過年度の点検調書と比較しても、人の目による確認と遜色ない結果が得られたといいます。
参照:日本経済新聞「NTT系、下水道管路のドローン点検を実証 AIで損傷検出」
事例⑤|鉄道インフラ監視
JR九州は、Tokyo Artisan Intelligenceと共同開発した「軌道モニタリング装置」を2023年4月から九州新幹線および西九州新幹線に導入しました。本装置はAIカメラを活用し、レールを締結するボルトの緩みを自動判定する仕組みです。
従来の線路巡視は、2人1組で1日6〜8kmを歩いて点検しており、多大な人員と労力を要していました。
導入後は、AIカメラを搭載したカートで走行しながら撮影・解析することで、1日あたり約18kmの巡視が可能となり、巡視にかかる延べ人員を約4割削減しました。
判定結果はタブレットに即時表示され、異常があればその場で補修対応が可能です。
AIによるリアルタイム監視を取り入れることで、省人化と安全性向上を同時に実現した事例といえます。
参考:九州旅客鉄道株式会社「JR 九州の新幹線線路を AI カメラで点検」
インフラ点検においてAIを導入する際の注意点

AIを活用したインフラ点検は多くのメリットをもたらす一方で、導入にあたっていくつか押さえておくべき注意点も存在します。
ここでは、インフラ点検の現場でAIの導入を失敗させないための3つの注意点を解説します。
▼インフラ点検においてAIを導入する際の注意点
- 注意点①|AI判定が100%ではないことを理解する
- 注意点②|国交省の技術基準に対応しているか確認する
- 注意点③|データの形式や保存方法を統一する必要がある
注意点①|AI判定が100%ではないことを理解する
AIは便利なツールですが、その診断結果を完全に信用してはいけません。画像解析の精度は飛躍的に向上しているものの「誤検知」や「未検知」のリスクを完全にゼロにするのは難しいためです。
例えば、雨ジミなどの単なる汚れをひび割れと誤って判定したり、複雑な構造の奥に潜む深刻な腐食を見落としたりするケースが考えられます。
そのため、AIの検出結果をそのまま最終判断とするのではなく、技術者による確認工程を組み込んだ運用体制が必要です。AIは点検業務を効率化する補助ツールと位置づけ、人と組み合わせて活用しましょう。
注意点②|国交省の技術基準に対応しているか確認する
自治体や企業が管理する公共インフラにAIを導入する際は、その技術が公的な基準を満たしているか確認が必須です。橋梁やトンネルの法定点検において、国が定めた要件から外れた手法を用いると、正式な点検結果として認められない可能性があります。
国土交通省が定期的に更新・公開している「点検支援技術性能カタログ」に掲載された技術やサービスであるかを事前にチェックしましょう。このカタログには、実際の現場での試験を経て一定の性能が確認されたAI画像解析やドローン技術が網羅されています。
効率化を急ぐあまり再点検となる事態を防ぐためにも、国が推奨するガイドラインに準拠した技術選定を心がけてください。
注意点③|データの形式や保存方法を統一する必要がある
AIをインフラ点検現場へ導入する前に、扱うデータの保存形式や管理ルールを組織内で統一しておく必要があります。ドローン撮影やAI解析を取り入れると、これまでとは比較にならないほど膨大な画像・動画データが発生し、取り扱いが煩雑になるためです。
単にAIで異常を検出できても、データがバラバラの形式で保存されていては過去の劣化状況と正確に比較できません。また、AIが出力した判定結果が、現在利用中の「インフラ管理台帳」や「報告書フォーマット」とスムーズに連携できるかも重要なポイントです。
導入後の混乱を防ぐためにも、データの保管場所やファイル名の規則、既存システムとの連携フローをあらかじめ明確に設計しておきましょう。
まとめ:インフラ点検の高度化に向けてAI活用を進めよう

日本の社会インフラが老朽化のピークを迎える中、人材不足と維持コスト増加の課題を解決するためには、AIの活用が不可欠です。本記事で紹介したように、AIを導入すれば点検業務の効率化やコスト削減、精度の均一化、そして現場の安全性向上が実現します。
一方で、AIの判定結果を信用しすぎないことや国の技術基準に適合すること、データ管理ルールを明確化することなどの注意点は抑えておきましょう。ぜひ自社に合ったAI技術の導入を進めてみてください。
「点検業務の負担を今すぐ減らしたい」とお考えなら、NBKマーケティングにご相談ください。
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