定修 プラント

定修(定期修理・定期点検)は、老朽化した設備を定期的に更新・点検し、設備の機能を維持するための取り組みを指します。この取り組みは、プラントを安全に運用するために欠かせない業務です。

しかし、定修は操業を一時的に停止するため、計画の遅れが大きなリスクになることも少なくありません。また、作業内容が複雑なため、現場では人員の確保や工程管理などの課題もあります。

そこで、本記事では、プラントの定修作業を効率化するための具体的な方法を5つ解説します。定修の基本的な流れや時期、課題についても紹介するので、現場管理者の方やプラント運営に関わる方は、ぜひ参考にしてください。

▼この記事を読んで分かること

  • 定修とは
  • プラントの定修が行われる時期と期間
  • プラント定修の基本ステップ
  • プラントの定修を効率化する方法5選
  • プラントの定修で直面する問題点

NBKマーケティングではhibot社と連携して、定修(定期点検)を効率化するサービス:フロートアーム(Float Arm)を提供しています。「フロートアーム」は、福島第一原子力発電所の廃炉作業のために開発された多関節型点検ロボットです。

「フロートアーム」を活用することで、作業者は危険な環境に近づくことなくリモートで点検やメンテナンスができます。

定修作業を効率化したいとお考えの方は、ぜひ以下の資料をご確認ください。

定修とは

定修

定修とは「定期修理」の略称で、プラントなどの生産設備を一定期間停止させて実施する、大規模な点検修理作業のことです。

稼働を続ける設備は経年劣化や摩耗が避けられません。突発的な故障が発生すれば、生産ラインの停止や安全事故につながります。

このようなトラブルを未然に防ぐために、法律でも定期的な点検が義務づけられており、定修は企業にとって欠かせない業務です。具体的には、次のような法律によって定められています。

  • 消防法
  • 高圧ガス保安法
  • 労働安全衛生法

定期点検を怠ったまま事故が発生した場合、法的な罰則や行政指導を受ける可能性があるため、点検の実施と記録の管理が重要です。

プラントの定修が行われる時期と期間

プラントの定修が行われる時期と期間

プラントの定修は、設備の劣化状況や法定点検のスケジュールに応じて、数年に一度のペースで実施されるのが一般的です。

定修の多くは、作業環境に適した春(4〜6月)や秋(9〜11月)に合わせて計画されます。極端な暑さや寒さによる作業リスクを避け、安全かつ効率的に作業を進めるための配慮です。

定修期間中には、操業を一時的に停止する必要があり、1〜2カ月程度プラント全体を停止する場合もあります。定修期間は生産活動がストップするため、作業の遅延や工程ミスが発生すれば、企業にとって大きな損失を招く恐れがあります。

そのため、生産スケジュールや人員体制を踏まえた綿密な計画が不可欠です。

プラント定修の基本ステップ

プラント定修の基本ステップ

ここからは、定修の基本的な流れを各ステップごとに解説します。

▼プラント定修の基本ステップ

  • ステップ①|設備点検
  • ステップ②|修繕・交換
  • ステップ③|設備洗浄・改造

ステップ①|設備点検

定修の初期段階では、まずプラント設備全体の詳細な点検を実施します。稼働中には確認できない内部構造や高所設備の劣化状況をチェックし、異常の有無を把握します。

例えば、ダクトやクレーンのサビ、部品の破損や油漏れ、管内の腐食などが対象です。これらの状態を評価し、劣化の程度に応じてランク付けをした上で報告書を作成します。

報告内容に基づき、修繕・交換の優先順位を明確にすることで、作業工程の最適化や工期の短縮にもつながります。

ステップ②|修繕・交換

次に、点検結果を踏まえ、必要な設備の修繕や部品交換をします。

老朽化が進んでいる装置や、今後不具合が発生しそうな機器、漏れの兆候がある配管などを優先的に対応します。また、修繕・交換作業には、法令上の手続きも必要です。

高圧ガス設備や圧力容器に関する作業では、管轄の官公庁への事前届け出や承認が必要となる場合があります。これらの法的要件をクリアしながら、作業の安全性・確実性を確保することが不可欠です。

作業中の事故を防ぐために、事前に作業の危険ポイントを洗い出しておきましょう。

ステップ③|設備洗浄・改造

定修の仕上げとして、プラント内の各種設備を洗浄・清掃し、汚れや堆積物を取り除きます。配管やタンク、機械内部には油分・スラッジ・粉塵などが蓄積しており、放置すると性能の低下や故障の原因となります。

特に熱交換器や排気ダクトは詰まりやすく、洗浄作業の効果が大きい箇所です。安全性や作業効率を高める目的で、設備を改造する場合もあります。

このような改善により、次回以降の定修作業の効率化や、安全リスクの低減にもつながります。

プラントの定修を効率化する方法5選

プラントの定修を効率化する方法5選

ここからは、プラントの定修を効率化する方法を5つ紹介していきます。各方法の特徴を踏まえ、自社の定修業務に最適な取り組みを検討してみてください。

▼プラントの定修を効率化する方法5選

  • 方法①|定修スケジュールの最適化
  • 方法②|定修対応力のあるパートナー企業と契約
  • 方法③|最新技術・ロボットの活用
  • 方法④|作業手順書・教育の標準化
  • 方法⑤|クラウド型の定修管理システムを導入

方法①|定修スケジュールの最適化

定修作業を効率化するには、まずはスケジュールの最適化に取り組みましょう。設備の重要度や老朽化の状況などに応じて優先順位をつけることで、無駄のない工期を設定できます。

また、各部門や協力会社と早期に連携し、計画段階から役割分担を明確にすることが重要です。他社との定修時期が重なると、人材や資材の確保が難しくなるため、業界カレンダーを踏まえた上での計画が欠かせません。

特に熟練作業員は、年々確保が難しくなっているため、早めに手配しておくことでコストや納期の面で有利になります。

方法②|定修対応力のあるパートナー企業と契約

定修の効率化には、実績が豊富で現場対応力の高いパートナー企業との契約が欠かせません。突発トラブルへの対応力や、調達リードタイムの把握力など、経験に裏打ちされたノウハウがあることで工程全体が安定します。

特に特注部品や海外製設備を含む現場では、準備不足による部材の納期遅延がスケジュール全体に与える影響が大きくなります。このようなリスクを最小限に抑えるためにも、事前にリードタイムを見積もり、パートナー企業と綿密に連携を取ることが不可欠です。

また、必要な人員や機材を事前に確保できる点でも、対応力の高い企業との契約は大きなアドバンテージになります。信頼できるパートナーとの関係構築により、作業品質や納期の確実性が高まり、結果として全体の効率化にもつながります。

方法③|最新技術・ロボットの活用

定修作業を効率化するためには、点検ロボットやAI技術を導入しましょう。

点検ロボットを活用すると人が立ち入るのが困難な場所でも、短時間かつ正確な点検・作業が可能です。例えば、hibot社の「フロートアーム」は、配管に沿って自律移動し、高精度な肉厚測定や温度データを取得します。フロートアームを使用すると、従来の手作業と比べて点検コストを約30%削減可能です。

また、AI画像解析を活用すれば、異常の自動検出や劣化の傾向分析が可能となり、診断の精度向上とミスの削減につながります。

「フロートアーム」を活用して定修の作業効率を上げたい方は、以下の資料をご確認ください。

方法④|作業手順書・教育の標準化

定修作業では、属人化の解消と作業品質の平準化が欠かせません。そのためには、作業ごとの手順を文書化した「標準作業手順書」を整備する必要があります。

各プロセスの標準を明確にすることで、経験の浅い作業員でも一定の品質で作業に従事できる体制が整います。また、教育コンテンツとして動画マニュアルやチェックリストを活用すれば、短期間での技術伝達も可能です。

外注作業員や若手スタッフが多い現場では、視覚的に理解しやすい教育ツールが効果を発揮します。教育の負担を軽減しながら、再発防止策や品質向上につなげましょう。

方法⑤|クラウド型の定修管理システムを導入

定修作業を効率化するなら、クラウド型の定修管理システムを導入することがおすすめです。クラウド型の定修管理システムを使うと、作業の進捗状況をリアルタイムで把握でき、現場の状況に応じて迅速な判断ができます。

従来のように紙やExcelで管理していると、情報の共有にタイムラグが生じやすく、対応の遅れや伝達ミスにつながりかねません。クラウド型なら、本部や協力会社とも常に最新情報を共有でき、作業全体をスムーズに進められます。

また、過去の定修データを蓄積・分析できる点も大きなメリットです。作業履歴やトラブルの傾向を把握し、次回以降の定修計画や予防保全に活かせます。

プラントの定修で直面する問題点

プラントの定修で直面する問題点

定修はプラントの安定に欠かせない一方で、現場ではさまざまな課題が発生しています。ここでは、定修における代表的な問題点についても確認していきましょう。

▼プラントの定修で直面する問題点

  • 問題点①|操業を止めることで多方面に支障が出る
  • 問題点②|現場の環境整備が追いついていない
  • 問題点③|熟練技術者が不足している

問題点①|操業を止めることで多方面に支障が出る

プラントの定修は安全確保に欠かせないものの、操業停止によりサプライチェーン全体へ影響が及ぶリスクもあります。サプライチェーンとは、原材料の調達から製品の流通までをつなぐ供給の流れのことです。

定修中に万が一不具合が発生すれば、工場内だけでなく取引先にも深刻な支障を及ぼします。原材料や部品、製品の供給が滞ることで、商社や代理店など流通側の業務にも大きな打撃を与えるケースは少なくありません。

また、定修期間中は作業車両の増加により周辺道路が渋滞し、近隣住民や一般の方にも迷惑がかかる可能性があります。この混乱を回避するためには「定修時期の分散」を意識する必要があります。

問題点②|現場の環境整備が追いついていない

プラントの定修現場において、環境整備が追いついていないことも問題点のひとつです。近年の「働き方改革」により労働時間の制限が強化されるなか、定修現場では労働環境と実態の間に大きなギャップが生じています。

時間外労働の上限として「月80時間未満・年720時間以内」が法令で定められています。しかし、定修は短期間に多くの作業が集中するため、この上限内での対応が難しいケースも少なくありません。

また、定期修理研究会の「今後の定期修理の在り方に関する報告」によると、かつて25〜30日程度だった定修期間が、工事量が増え50〜60日に延びているとの報告があります。このような問題により作業工程や人員配置の管理がさらに複雑化し、現場の負担も一層大きくなっているのが実情です。

問題点③|熟練技術者が不足している

熟練技術者が不足していることも、定修における深刻な問題です。

定修現場では設備の状態を見極め、的確な判断を下せる技術者の存在が欠かせません。しかし、スキルを持つベテラン人材の高齢化が進んでおり、知識や技術が引き継がれにくくなっています。

また、教育にかかる時間とコストや若手の志望者不足などの要因も、技術継承を難しくしている要因です。定修は短期集中作業のため、即戦力となる人材の確保が困難な状況が続いています。

こうした背景を踏まえ、教育の標準化とデジタル技術を活かした技術伝承の強化が必要です。

Float Arm

プラントの定修作業で「人手不足」や「作業効率」に課題を感じていませんか?

NBKマーケティングでは、多関節型点検ロボット「フロートアーム(Float Arm)」を活用したサービスを提供しています。人が立ち入りにくい高所・狭所でも高精度な点検が可能となり、作業コストや工期の大幅な削減を実現します。

定修の自動化や省人化を検討されている方は、ぜひ下記よりサービスの詳細をご確認ください。

まとめ

まとめ

プラントの定修作業では、操業停止による供給混乱や現場環境の負荷、熟練技術者の不足など、さまざまな課題が顕在化しています。こうした課題を解決し、作業を効率化するには、スケジュールの最適化やロボットの導入、作業標準化などの取り組みが効果的です。

ぜひ、貴社の定修体制の見直しや効率化にお役立てください。

NBKマーケティングでは、定修作業を効率化する、多関節型ロボット「フロートアーム(Float Arm)」を提供しています。作業時間の短縮や安全性の向上を図りたい方は、ぜひこの機会に導入をご検討ください。

LiLz Gaugeに関するご質問、お見積り、試験導入のお申し込みなど
お気軽にお問い合わせください