社会インフラにおけるAIの活用方法を解説|注目される理由・今後の展望まで紹介

インフラの老朽化や人材不足、災害リスクといった課題が深刻化する中、AIは持続的な整備・管理を実現するための重要な手段となりつつあります。

そこで本記事では、社会インフラにおけるAI活用の背景から具体的な活用方法、関与する企業や今後の変化までを体系的に解説します。

また、国土交通省にて「インフラ施設管理AI協議会」が設立された経緯や、社会インフラAIがもたらす今後の変化についても紹介するので、ぜひ最後までお読みください。

NBKマーケティングは、石油・化学・製鉄・ガスなどの社会インフラ分野に加え、病院・施設管理領域においても、点検業務の効率化を支援してきました。

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社会インフラでAIが注目される理由

社会インフラでAIが注目される理由

社会インフラ分野でAI活用が注目されている背景には、構造的かつ長期的な課題があります。ここでは、なぜAIが不可欠な存在として期待されているのか、3つの観点から整理します。

▼社会インフラでAIが注目される理由

  • 理由①|社会インフラの老朽化
  • 理由②|人口減少による担い手不足
  • 理由③|気候変動

理由①|社会インフラの老朽化

日本の社会インフラは、今後さらに老朽化が進行し、維持・管理の高度化が避けられない状況にあります。高度経済成長期に集中的に整備された社会インフラは、建設から数十年が経過し、劣化や損傷が顕在化しているのが実情です。

近年、トンネル崩落や道路陥没といった事故が各地で発生していることからも、老朽化が実害を伴う段階に入っているといえます。

国土交通省の「社会資本の老朽化の現状と将来」においても、建設後50年以上を経過するインフラ施設の割合は急速に高まる見通しが示されています。

点検や補修の対象が増え続ける一方、従来と同じ頻度・方法での対応を続けることは現実的ではありません。

こうした状況において、AIを活用した劣化検知や異常兆候の把握は、限られた予算と人員でインフラを維持するために有効です。

理由②|人口減少による担い手不足

社会インフラを支える現場では、人口減少と高齢化の影響を受けています。点検や保守を担う技術者の確保が年々難しくなり、現場の負担は増す一方です。

長年現場を支えてきた熟練技術者の引退が進み、暗黙知として蓄積されてきたノウハウの継承が課題となっています。経験に基づく判断力は簡単に代替できず、若手人材だけで同等の品質を維持することは容易ではありません。

AIは、この人材不足を補完する手段として期待されています。画像解析やセンサーデータを用いて、劣化状況の判定や異常検知を支援することで、経験の浅い担当者でも一定水準の判断が可能になります。

以下の記事では、インフラ点検の現場で人手不足が進む背景について解説しているので、合わせてご参照ください。

>>インフラ点検の現場で人手不足が進む背景|デジタル技術を活用した解決策まで徹底解説!

理由③|気候変動

気候変動の影響により、社会インフラを取り巻く環境はこれまで以上に不確実性を増しています。集中豪雨や大型台風の頻発、気温上昇による設備への負荷増大など、従来の想定を超える事象が各地で発生しています。

これまでの設計基準や運用ルールでは、十分に対応しきれないケースも少なくありません。

こうした異常気象は、道路や河川、電力・通信設備などに直接的な被害をもたらし、生活や経済活動に大きな影響を及ぼします。被害が発生してから対応する「事後型」の管理では、復旧コストや社会的損失が拡大しやすい点も課題です。

AIを活用することで、過去のデータをもとに、リスクの高いエリアやタイミングを事前に把握できる可能性があります。気候変動が常態化する時代において、予測に基づくインフラ管理を実現するためにも、AIは重要な役割を担う存在です。

社会インフラにおけるAIの活用方法

社会インフラにおけるAIの活用方法

社会インフラ分野ではAIを、持続的な運営を支える中核技術として活用する動きが広がっています。ここでは、実際に導入が進んでいる活用方法を5つ取り上げ、それぞれの特徴と価値を整理します。

▼社会インフラにおけるAIの活用方法

  • 方法①|予知保全・設備監視
  • 方法②|点検・診断の自動化
  • 方法③|被災データを活用したAIによる災害リスク予測
  • 方法④|スマートシティにおけるインフラ統合管理
  • 方法⑤|AIロボットによる作業代行

方法①|予知保全・設備監視

AIを活用した予知保全・設備監視は、社会インフラの安定運用を支える基盤的な取り組みです。

センサーやIoT機器から取得したデータをAIが常時分析することで、設備の異常兆候を早期に捉えられます。従来の定期点検では見逃されがちだった微細な変化も、データの蓄積と学習によって検知可能です。

具体例としては、水道管の漏水リスクを推定する仕組みや、電力設備の異常を検出するシステムなどが挙げられます。これにより、トラブルが発生してから対応するのではなく、計画的に補修・交換しやすくなります。

方法②|点検・診断の自動化

点検・診断の自動化は、AIの画像解析技術を活用した代表的なケースです。ドライブレコーダーや固定カメラなどで撮影した画像や動画をAIが解析し、ひび割れや腐食、塗装剥離といった劣化箇所を自動的に抽出します。

これまでの点検は、作業員の目視や経験に依存する部分が大きく、評価基準にばらつきが生じやすい点が課題でした。AIを用いることで、損傷箇所をマーキングして分布を可視化し、劣化状況を定量的に把握できます。

複数年のデータを比較することで、進行度合いの把握も容易になります。点検対象が増え続ける中で、実務負荷を抑える効果的なAI活用方法です。

方法③|被災データを活用したAIによる災害リスク予測

過去の被災履歴や気象データ、地形情報などをAIで総合的に分析し、将来の災害リスクを予測する取り組みも進んでいます。個別の設備や路線単位で被災確率を算出できる点が特徴です。

例えば、過去の豪雨被害と降雨量、地盤条件の関係をAIに学習させることで、特定条件下で被害が発生しやすいエリアを事前に把握できます。NTTデータなども、外部データを活用した災害リスク分析の取り組みを進めています。

こうした予測結果は、重点的な補強や監視対象の選定、防災計画の見直しに活用可能です。

方法④|スマートシティにおけるインフラ統合管理

スマートシティでは、AIを活用して複数のインフラを横断的に管理し、都市全体の最適化を図ります。分野ごとに分断されていたデータを統合し、相互に連携させる点が特徴です。

例えば、交通分野では、リアルタイムの交通量予測に基づく信号制御により渋滞緩和を図ります。エネルギー分野では、電力需要をAIが予測し、供給バランスを調整するスマートグリッドが活用されています。

都市全体の効率性や安全性を高められる点がスマートシティにおけるAI活用の強みです。

複雑化する都市運営に対応するための基盤技術として、今後も重要性は高まっていくでしょう。

方法⑤|AIロボットによる作業代行

人手不足や危険作業への対応として、AI搭載ロボットによる作業代行も進んでいます。

高所や狭隘部などの人が作業しにくい環境において、点検・補修をAIロボットが担うことで、安全性と作業効率の向上が期待されています。

いくつか活用事例を見ていきましょう。

工事現場では、川田テクノロジーズが作業支援ロボットの運用試験を進めるなど、実証段階から実用化に向けた動きが見られます。

また、NBKマーケティングが提供するフロートアームを活用すれば、人が入れない狭小空間の目視点検や配管の肉厚測定などを安全に実施できます。

AIロボットによる作業代行をお考えの方は、以下から製品をチェックしてみてください。

>>フロートアーム(Float Arm)

国土交通省にて「インフラ施設管理AI協議会」が設立

国土交通省にて「インフラ施設管理AI協議会」が設立

社会インフラ分野におけるAI活用を本格的に推進するため、国土交通省は「インフラ施設管理AI協議会」を設立しました。

この協議会は、排水機場などの重要インフラを中心に、AIモニタリングシステムの研究開発と現場への普及を加速させることを目的とした取り組みです。

本議会において、弊社NBKマーケティングも法人会員としてメンバーに選出されました。

協議会では、AIを活用して設備の劣化傾向を迅速かつ的確に把握し、機能喪失を未然に防ぐ仕組みの確立を目指しています。そのために、民間企業、関係業界団体、研究機関、行政機関、学識者が参画し、分野横断的な議論と連携を行う体制が整えられました。

具体的には、研究開発方針の整理や運用データの扱い方、知的財産権の考え方、現場導入に向けたガイドラインの検討などが進められます。

協議会の下にはワーキンググループ(WG)が設置され、研究推進や将来的な現場普及を見据えた検討が段階的に行われる予定です。

参考:国土交通省「インフラ施設管理AI協議会」

社会インフラ分野でAI活用を進めるIT・AI企業

社会インフラ分野でAI活用を進めるIT・AI企業

社会インフラ分野におけるAI活用は、特定の企業だけで完結するものではなく、産官学が連携しながら技術検証と実装を進める段階に入っています。

ここでは、国土交通省「インフラ施設管理AI協議会」のメンバー企業を紹介します。

▼「インフラ施設管理AI協議会」のメンバー企業

  1. 株式会社IHI
  2. Arithmer株式会社
  3. 株式会社石垣
  4. 株式会社インサイト
  5. ウィットシステムズ株式会社
  6. Hmcomm株式会社
  7. 株式会社エクストラネット・システムズ
  8. エヌエスティ・グローバリスト株式会社
  9. NBKマーケティング株式会社
  10. 株式会社荏原製作所
  11. 株式会社クボタ
  12. 株式会社建設技術研究所
  13. 新菱工業株式会社
  14. 水ing株式会社
  15. 株式会社鶴見製作所
  16. 株式会社電業社機械製作所
  17. 株式会社東芝
  18. 株式会社酉島製作所
  19. 日本アイ・ビー・エム株式会社
  20. 日本電気株式会社
  21. 株式会社日立インダストリアルプロダクツ
  22. 富士通株式会社
  23. ブレインズテクノロジー株式会社
  24. 三菱電機株式会社
  25. 株式会社明電舎
  26. 株式会社モルフォ AIソリューションズ
  27. 株式会社Ridge-i

引用:インフラ施設管理 AI 協議会 法人会員名簿 

これらの企業は、国の方針と整合した形で技術検証や実装検討に関与しています。

つまり、単なるAIベンダーではなく、信頼性や継続性を重視した取り組みを実施しているのが特徴です。

社会インフラAIがもたらす今後の変化

社会インフラAIがもたらす今後の変化

社会インフラ分野にAIが本格的に組み込まれることで、整備・維持管理の考え方そのものが変わりつつあります。

老朽化の進行や災害の激甚化、生産年齢人口の減少といった課題に直面する中、AIは、意思決定の質を高める基盤技術としても位置付けられ始めています。

具体的には、点検や巡視、異常検知などの作業がデータ主導へ移行する点です。発生頻度の低い異常事象についても、生成AIを活用して学習データを補完することで、検知精度の底上げが期待されています。

また、ロボットや遠隔操作技術とAIを組み合わせた「フィジカルAI」の進展も期待される変化の一つです。人が現場に入らなくても状況把握や応急対応が可能となり、安全性と迅速性の両立が図られます。

今後は、AIを前提とした運営モデルへの転換が、企業や自治体にとって重要な競争力の一つになっていくでしょう。

参考:国土交通省「インフラ分野のDXと今後のAIの徹底活用に向けた取組」

まとめ:社会インフラを整備・管理を持続するためにAIは不可欠

まとめ

本記事では、社会インフラ分野でAIが注目される背景から、具体的な活用方法、関連企業の動向、そして今後の変化までを整理しました。

AIは予知保全や点検自動化、災害リスク予測などを通じて現場の高度化を支えています。

また、国主導の協議会設立や企業連携により、実装フェーズも加速しています。

ぜひ本記事を参考に、最新の取り組み事例や活用の方向性を把握し、自社にとって現実的な一歩を整理しましょう。

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