
国土交通省江戸川河川事務所が管理する「三郷排水機場」の視察が行われました。本排水機場の主要な役割は、大規模なポンプ設備を用いて河川の排水を行い、治水安全度を向上させることです。技術的特徴は、口径4600mm、吐出量50m³/sを誇る巨大なポンプ5台およびそれを駆動する強力なエンジンシステムです。設備は、1台で乗用車約50台分に相当する出力を備え、学校のプールを約6秒で空にするほどの驚異的な排水能力を有しています。
排水機場概要と主要設備
三郷排水機場は、大規模な排水能力を備えた、国土交通省江戸川河川事務所管轄の重要インフラ施設です。
1.ポンプのスペック
● 口径: 4600mm
● 吐出量: 50m³/s
● 羽根車(実物大): 直径約4.6m(株式会社荏原製作所製)
● 排水能力の例え: 学校の25mプールをわずか6秒で空にできる能力を持ち、水を建物2階程度の高さまで吸いあげ可能
1-2 駆動源
● エンジン: 燃料を爆発させてピストンを上下させ、エンジンの軸を回転させる。
● 出力規模: エンジン1台で乗用車約50台分の力を発揮する。
2. ポンプ稼働のメカニズム
排水機場のシステムは、エンジンの水平方向の回転を、効率的にポンプの垂直方向の回転へと変換・伝達する構造となっている。①| エンジン | 動力の源。爆発的なエネルギーを軸の回転運動に変える。②| 流体継手 | エンジンの回転を滑らかに歯車減速機へと伝える。 ③ 歯車減速機 | 大きな歯車を使用し、エンジンからの回転を垂直方向に変えつつ、ポンプを駆動する。 ④ ポンプ(軸・羽根) | 扇風機のような巨大な羽根を回転させ、低所から高所へと水を吸い上げる。 |
3.補助システムとメンテナンス技術
安定した排水稼働を維持するため、発熱対策および水質管理のための高度な補助システムを導入
3-1冷却プロセスと熱対策:エンジンの運転には大量の熱が発生するため、継続的な冷却が不可欠。
- 機械(エンジン)の始動: 稼働に伴い熱が発生する。
- 冷却水の確保: 冷やすために「きれいな水」が必要。
- 川水の浄化: 川の水をろ過してきれいにする。
- 送水: 浄化された水を機械へ送り、冷却を行う
3.2 オートストレーナ(自動ろ過装置)
冷却に使用する川水を浄化するために「オートストレーナ」が使用されている。
● 仕組み: 原水(汚水)が流入し、「エレメント」と「ポケット」で発泡スチロール、木くず、プラ袋などのゴミを捕捉。
● 自動洗浄: 逆洗アームが回転し、捕捉したゴミを排出口へ導くことで、常に「きれいなお水」を供給し続ける。
4.監視および制御体制
施設の安全稼働を担保するため、各機器の状態は計器類によって厳密に監視されている。
4.1 監視項目
コントロールパネルには、以下の主要な指標を表示するアナログメーターが備えられている。
● 軸受温度: エンジン側入力軸受温度など。
● スラスト軸受温度: 軸方向の荷重を支える部位の温度。
● 潤滑油: 潤滑油温度および潤滑油圧力の監視。
● 作動油: 作動油温度および作動油ポンプ圧力。
4.2 信号変換
● F-Vコンバータ(FV-603): 周波数から電圧への変換を行う機器(小野測器製)が組み込まれており、回転数などの信号処理が行われていることが示唆される。
5.視察に関する付帯情報
● 実施日: 2026年3月11日
● 視察団体: 研究推進WG
● 場所: 三郷排水機場(埼玉県三郷市周辺、江戸川右岸所在)
● 協力企業: 株式会社荏原製作所、株式会社日立製作所(機器銘板等より)









