
公開日:2026年10月 | NBKマーケティング株式会社
防爆エリアのDX(デジタルトランスフォーメーション)は、「使える機器が限られる」「配線工事が必要」「コストが高い」といった壁があり、一般エリアより遅れがちです。 しかし最近は、配線工事なしで設置できる防爆IoTカメラや、普段使っているiPad miniをそのまま危険場所に持ち込める防爆ケースが登場し、「小さく始めて広げる」DXができるようになってきました。本記事では、防爆エリアのDXが進まない理由と、DXを進める3つの段階・5つのステップを解説します。あわせて、NBKマーケティングが取り扱う完全無線型防爆IoTカメラ「LC-EX10」(ZONE2対応)とiPad mini用防爆ケース「HTA3021(AXTION)」(ZONE1対応)の使い方も紹介します。
配管に付けたIoTカメラがメーターを撮影し、作業員は防爆ケースに入れたiPad miniで状況を確認する——防爆エリアDXのイメージです(画像はAIで作成したイメージです)
【注目】防爆エリアのDXを「工事ナシ」で始めるなら
・防爆IoTカメラ LC-EX10:電池で約3年動き、LTEで画像を送る完全無線型。金具などで取り付けるだけで、メーターや設備の監視を始められます(ZONE2対応、国内防爆検定取得)。
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この記事でわかること
- 防爆エリアのDXとは何か(IT化との違い)
- 防爆エリアのDXが進まない4つの壁
- 防爆エリアのDXを進める3つの段階
- LC-EX10で「点検データを自動で集める」方法(ZONE2)
- HTA3021で「現場業務をペーパーレス化する」方法(ZONE1)
- DXを進める5ステップと、導入時の注意点
防爆エリアのDXとは?IT化との違い
DXとは、デジタル技術とデータを使って、業務の進め方や組織、ビジネスのやり方そのものを変えていく取り組みです。 経済産業省は「DX推進ガイドライン」(2018年)の中で、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。
つまり、紙をデータに置き換える「IT化」はDXの入口にすぎません。防爆エリアに当てはめると、次のような変化がDXにあたります。
| 区分 | 例 | 変わること |
|---|---|---|
| IT化(デジタル化) | 紙の点検票をタブレット入力にする | 記録の手間・転記ミスが減る |
| DX | カメラが自動で集めたデータをもとに、巡回の回数や点検計画そのものを見直す | 点検のやり方・人の配置・保安の考え方が変わる |
産業保安の分野では、経済産業省がIoT・AI・ドローンなどの新しい技術を活用する「スマート保安」を進めています。背景には、プラント設備の高経年化(老朽化)と、保安を担う熟練人材の不足があります。防爆エリアを持つ石油・化学・ガスなどの現場でも、DXは「やったほうがよいこと」から「続けていくために必要なこと」になりつつあります。
防爆エリアのDXが進まない4つの壁
機器・工事・コスト・運用の4つの壁が重なり、防爆エリアのDXは一般エリアより進みにくくなっています
壁1:機器の壁——一般のデジタル機器を持ち込めない
防爆エリアでは、その場所に合った防爆構造の電気機械器具しか使えません。 労働安全衛生規則第280条は、可燃性のガス・蒸気・粉じんにより爆発の危険のある場所では、その場所に適合する防爆構造の電気機械器具でなければ使ってはならないと定めています。スマートフォンやタブレット、市販のIoTカメラもこの対象になるため、一般エリアで当たり前に使っているデジタル機器をそのまま持ち込むことはできません。
壁2:配線・工事の壁——「まず1台試す」が難しい
防爆対応のカメラやセンサーを電源・通信ケーブルでつなぐ場合、防爆用の電線管やシーリングなど、防爆仕様の工事が必要になります。工事には専門知識と費用・期間がかかるため、「効果があるか分からないうちに大きな工事はできない」と、DXの第一歩が止まってしまうことがよくあります。
壁3:コストの壁——防爆端末は高く、台数を増やしにくい
防爆仕様の端末は一般品より高価です。HTA3021の製品ページでは、一般的な防爆端末の価格を「約100万円超」としています。1台あたりの価格が高いと、現場の作業員全員に配るといった展開がしにくくなります。
壁4:運用・システムの壁——アプリや端末管理をやり直す必要がある
防爆端末のOSが、事務所で使っている端末と違う場合、業務アプリの作り直しや、端末管理(MDM)の設定、作業員への操作教育をやり直す必要があります。「防爆エリアだけ別の仕組み」になると、データがつながらず、DXの効果が出にくくなります。
防爆エリアのDXは3つの段階で進める
いきなり全社的な変革を目指すのではなく、デジタイゼーション→デジタライゼーション→DXの順に積み上げます
DXは、一般的に次の3つの段階で進むと説明されます。防爆エリアの場合も、この順番で考えると取り組みやすくなります。
段階1:デジタイゼーション(アナログをデジタルにする) 紙の点検票をタブレット入力に変える、メーターの値を写真で残すなど、まずは情報をデジタルデータにします。防爆エリアでこれを実現するには、危険場所で使えるタブレットが必要です。
段階2:デジタライゼーション(業務の流れをデジタルにする) 人が巡回して目で見ていたメーターを、IoTカメラの自動撮影に置き換えるなど、業務の流れそのものをデジタルに変えます。点検データが自動でクラウドに集まり、報告や共有の手間も減らせます。
段階3:DX(保安・経営のやり方を変える) 集まったデータをもとに、異常の兆候を早めにつかむ、巡回の回数や点検計画を見直す、人の配置を変えるなど、保安のやり方そのものを変えていきます。
このうち段階1・2を、配線工事なしで始められるのが、次に紹介するLC-EX10とHTA3021です。
LC-EX10で「点検データを自動で集める」(ZONE2対応)
LC-EX10とは
LC-EX10は、電池で約3年動き、LTEで画像を送る完全無線型の防爆IoTカメラです。 LiLz社が開発し、NBKマーケティング株式会社が取り扱っています。電源も通信ケーブルも不要なため、金具などで取り付けるだけで設置できます。撮影した画像は、メーターの値を自動で読み取る「LiLz Gauge」や、設備の状態を見守る「LiLz Guard」と連携して活用できます。
DXの「壁」をどう越えるか
| 壁 | LC-EX10での解決 |
|---|---|
| 機器の壁 | 国内防爆検定(Ex ic IIC T6 Gc / Ex ic IIIC T85℃ Dc)とIECEx認証を取得。ZONE2の危険場所に設置可能 |
| 配線・工事の壁 | 電池式(約3年)+LTE通信の完全無線。防爆用の配線工事が不要で、金具などで取り付けるだけ |
| 運用の壁 | 画像はクラウドに送られ、事務所のPCやタブレットから確認可能。読み取り結果をデータとして活用できる |
LC-EX10の主な仕様
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 製品名 | LC-EX10 [LTE] |
| 対応ゾーン | ZONE2 |
| 防爆記号 | Ex ic IIC T6 Gc / Ex ic IIIC T85℃ Dc(IECEx認証も取得) |
| 通信方式 | LTE Cat.1 |
| 電源 | 電池式(約3年) |
| 重さ | 約530g |
| 防水・防塵 | IP65 |
| 使用温度 | -20℃〜60℃ |
| カメラ有効解像度 | 2560×1920 |
LC-EX10で進むDXの例
- メーター読み取りの自動化:圧力計・温度計・液面計などを定期的に自動撮影し、LiLz Gaugeで数値化。巡回して目で読む作業を減らせます。
- 設備の見守り:タンクやバルブ周り、配管の状態を遠隔で確認。人が防爆エリアに入る回数そのものを減らせます。
- データの蓄積と活用:撮影画像と読み取り値が時系列で残るため、変化の傾向をつかみ、点検計画の見直しに役立てられます。
HTA3021で「現場業務をペーパーレス化する」(ZONE1対応)
HTA3021(AXTION)とは
HTA3021(商品名:axtion extreme for iPad mini)は、iPad mini(A17 Pro)をそのまま入れて、ZONE1の危険場所で使えるようにする防爆ケースです。 国内防爆検定(第NC10145X号:ガス/第NC10146X号:粉じん)を取得しており、ガスのZONE1と粉じんのZONE21に対応します。NBKマーケティングは、iPad mini用の防爆ケースとして唯一の製品と案内しています。
DXの「壁」をどう越えるか
| 壁 | HTA3021での解決 |
|---|---|
| 機器の壁 | ZONE1(ガス)・ZONE21(粉じん)に対応。LC-EX10が設置できないZONE1でもデジタル機器が使える |
| コストの壁 | 導入コストは一般的な防爆端末(約100万円超)の約60%。iPad mini付70万円〜、ケースのみ55万円〜 |
| 運用・システムの壁 | 中身は普段のiPad mini。iOSアプリ・Safari・Apple Pencil・端末管理(MDM)をそのまま使えるため、アプリの作り直しや再教育の負担が小さい |
HTA3021の主な仕様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 品番 | HTA3021(axtion extreme for iPad mini) |
| 対応端末 | iPad mini(A17 Pro) |
| 国内防爆検定 | 第NC10145X号(ガス)/第NC10146X号(粉じん) |
| 対応ゾーン | ZONE1(ガス)・ZONE21(粉じん) |
| 防爆記号 | Ex db IIB+H2 T6 Gb(ガス) |
| 国際認証 | IECEx / ATEX |
| 防水・防塵 | IP68 |
| 耐衝撃 | MIL-STD-810H 準拠 |
| 動作温度 | -20℃〜+40℃ |
| 重量 | 1,400g |
| 価格 | iPad mini付:70万円〜 / ケースのみ:55万円〜 |
HTA3021で進むDXの例
- 点検票のペーパーレス化:紙の点検票を点検アプリに置き換え、その場で入力・写真添付。事務所に戻ってからの転記が不要になります。
- 現場での情報確認:図面・手順書・過去の点検記録を、防爆エリアの中でiPadに表示して確認できます。
- カメラデータとの連携:LC-EX10が集めた画像や読み取り値を現場で確認し、気になる設備だけを重点的に点検する、といった使い方ができます。
LC-EX10とHTA3021でつくる防爆エリアDXの構成例
ZONE2はLC-EX10でデータを自動収集し、ZONE1を含む現場作業はHTA3021でデジタル化。データはクラウドで一元管理します
2つの製品は役割が異なり、組み合わせることで「データを集める」と「現場で使う」の両方をデジタル化できます。
| 製品 | 対応ゾーン | 役割 | DXの段階 |
|---|---|---|---|
| LC-EX10 | ZONE2 | 人の代わりにメーターや設備を見て、データを自動で集める | デジタライゼーション |
| HTA3021(AXTION) | ZONE1・ZONE21 | 作業員が現場でデータを入力・確認する | デジタイゼーション〜デジタライゼーション |
「行く回数をLC-EX10で減らし、行くときはHTA3021でデジタルに」という形にすると、集まったデータを使って点検計画を見直す、段階3のDXにもつなげやすくなります。
防爆エリアのDXを進める5ステップ
目的を決めて小さく試し、効果を確かめてから広げることで、失敗のリスクを抑えられます
ステップ1:目的とKPIを決める 「巡回の工数を減らしたい」「記録ミスをなくしたい」「夜間・休日の監視を強化したい」など、DXで何を変えたいかを決めます。点検にかかる時間・移動時間・記録ミスの件数など、効果を測る指標(KPI)もあわせて決めておきます。
ステップ2:現場の業務とゾーンを棚卸しする 点検項目ごとに、場所のゾーン区分(ZONE1/ZONE2など)と、点検の頻度・方法を整理します。「カメラで代わりに見られる点検」と「人が行く必要がある点検」に分けると、どの製品が合うかがはっきりします。
ステップ3:小さく試す LC-EX10を1〜2台、HTA3021を数台など、少ない台数から試します。LC-EX10は配線工事がいらないため、試験導入のハードルが低いのが特長です。
ステップ4:効果を測り、ルールにする ステップ1で決めたKPIで効果を確かめ、運用手順・充電のルール・端末管理の方法を決めます。
ステップ5:横展開とデータ活用 効果が確認できたら、ほかのエリアや工場へ広げます。データが集まってきたら、点検の頻度や計画の見直しなど、保安のやり方そのものを変えていきます。
導入時の注意点
- ゾーンに合った機器を選ぶ:LC-EX10はZONE2対応(Ex ic)のため、ZONE1には設置できません。ZONE1で使うデジタル機器にはHTA3021など、ZONE1に対応した製品を選びます。
- 充電は安全な場所で:LC-EX10は、製品ページの使用条件で「必ず安全な場所で充電すること」とされています。HTA3021に入れたiPad miniも、危険場所の外(非危険場所)で充電する運用ルールを決めておきましょう。
- 通信環境を確認する:LC-EX10はLTE通信で画像を送るため、設置場所の電波状況を事前に確認します。
- 社内ルール・セキュリティを整える:危険場所への持ち込み手順、端末管理(MDM)、データの保存先などを、保安部門・情報システム部門と事前に決めておくと、展開がスムーズです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 防爆エリアのDXは、何から始めるのがよいですか?
A. まずは「効果が分かりやすく、工事がいらないこと」から始めるのがおすすめです。たとえば、毎日巡回して読んでいるメーターをLC-EX10で自動撮影する、紙の点検票をHTA3021に入れたiPad miniの入力に置き換える、といった取り組みです。
Q2. LC-EX10はZONE1に設置できますか?
A. できません。LC-EX10の防爆記号はEx icで、ZONE2対応です。ZONE1でのデジタル化には、ZONE1対応のHTA3021などをご検討ください。
Q3. HTA3021にはどのiPad miniが入りますか?
A. 現在はiPad mini(A17 Pro)に対応しています。対応機種は変わる場合があるため、最新情報は製品ページまたはお問い合わせでご確認ください。
Q4. ZONE1とZONE2の違いは何ですか?
A. ZONE1は「通常の状態において、爆発性雰囲気をしばしば生成するおそれがある場所」、ZONE2は「通常の状態において、爆発性雰囲気を生成するおそれが少ない、または生成した場合でも短時間しか持続しない場所」です。ZONE1のほうが危険度が高く、使える機器の条件も厳しくなります。詳しくは日本電熱「「防爆」の基礎知識」をご覧ください。
Q5. 既存の業務アプリは使えますか?
A. HTA3021は中身が通常のiPad miniのため、iPadで動いている業務アプリはそのまま使えます。アプリの防爆対応などは不要ですが、危険場所での運用ルールは事前に決めておきましょう。
まとめ
防爆エリアのDXは、「機器」「配線・工事」「コスト」「運用・システム」の4つの壁があり、一般エリアより進みにくいのが実情です。
- DXは、デジタイゼーション→デジタライゼーション→DXの3段階で積み上げる
- LC-EX10(ZONE2)は、配線工事なしでメーターや設備のデータを自動で集められる
- HTA3021(ZONE1)は、普段のiPad miniで現場の点検業務をペーパーレス化できる
- 目的とKPIを決め、小さく試して効果を見てから広げるのが成功の近道
「まずは1か所から試してみたい」「自社の現場でどちらの製品が合うか知りたい」という方は、お気軽にご相談ください。
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参考情報
- LC-EX10 製品ページ(NBKマーケティング)
- iPad mini用防爆ケース HTA3021(AXTION)製品ページ(NBKマーケティング)
- 日本電熱「「防爆」の基礎知識」
- 経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」(2018年。現在は「デジタルガバナンス・コード」に統合)
- 経済産業省「スマート保安」の取り組み
- 労働安全衛生規則 第280条(爆発の危険のある場所で使用する電気機械器具)
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