配管のCUI点検(保温材下腐食の点検)を効率的に行うには?保温材を剥がさない点検ロボット「Float Arm」を解説

配管の**CUI点検(Corrosion Under Insulation:保温材下腐食の点検)**は、保温材に覆われて外から見えない腐食を見つける点検です。従来は保温材を剥がし、高所なら足場を組む必要があり、費用と時間が大きな負担でした。本記事では、CUI点検の課題と効率化の方法、保温材を剥がさずに点検できるヘビ型ロボット「Float Arm(フロートアーム)」を解説します。


CUI(保温材下腐食)とは

CUI(保温材下腐食)とは、配管や機器を覆う保温材の内側に水分が入り込み、金属表面で滞留することで進む外面腐食のことです。

水分の主な原因は、雨水、冷却水の飛沫、結露などです。保温材の継ぎ目や傷んだ部分から入った水分が乾きにくく、腐食が進みやすくなります。

CUIが起きやすい条件の目安は次のとおりです(米国石油協会の推奨規格 API RP 583 などの資料による)。

材質起きやすい温度域の目安
炭素鋼・低合金鋼約-12℃〜175℃
オーステナイト系ステンレス鋼(塩化物による応力腐食割れ)約60℃〜205℃

運転と停止を繰り返す配管は、停止中や温度の上げ下げのときに結露しやすいため、特に注意が必要です。

CUIが怖い理由

CUIの怖さは、外から腐食の進み具合が見えないことです。高圧ガス保安協会や経済産業省の事故事例でも、保温材下の腐食でできたピンホールから漏えいした例が毎年のように報告されています。腐食しやすい場所は、配管サポート(支持部)の接触部やフランジ周りです。多くの場合、漏えい検知器の作動や臭気、定期点検での保温材の解体によって初めて見つかっています。


CUI点検の課題とは

CUI点検の課題とは、腐食が保温材の下に隠れているため、確実に調べようとすると多くの付帯作業と費用がかかることです。

最も確実なのは保温材を剥がして目視し、超音波厚さ計で肉厚を測る方法です。ただし、次のような負担が生じます。

  1. 保温材の解体・復旧:異常がない箇所でも、剥がして戻す作業と廃材処理が発生します。
  2. 足場の設置:パイプラックなど高い所の配管では足場が必要で、組立と解体に日数と費用がかかります。
  3. 操業停止による損失:定期修理(定修)の期間が延びると、その分だけ生産が止まります。
  4. 人手不足と安全面の負担:高所作業や、高温・有毒ガスなど危険な環境での作業が増えます。

プラント全体の配管をすべて剥がして調べるのは、現実的ではありません。


CUI点検を効率化する方法とは

CUI点検の効率化とは、リスクの高い箇所を絞り込み、保温材を剥がさずに調べられる技術を組み合わせて、解体と足場を最小限にすることです。

一般には、次の2段階で進めます。

段階内容主な手法
① スクリーニング保温材を剥がさず、腐食の可能性が高い箇所を絞り込む放射線(RT)透過検査、ガイド波超音波検査、パルス渦流探傷(PEC)など
② 詳細点検絞り込んだ箇所だけ保温材を剥がし、目視・肉厚測定で補修の要否を判断する目視、超音波厚さ計

あわせて、流体の性質、運転温度、設置場所、過去の点検履歴などから配管の重要度を評価し、点検の優先順位を付ける「リスクに基づく点検(RBI)」も勧められています。

ただし、こうした保温材を剥がさない検査も、高い所や狭い所にある配管では、センサを当てるために足場や高所作業が必要になる場合があります。ここを解決するのが、点検ロボットの活用です。


Float Arm(フロートアーム)とは

Float Arm(フロートアーム)とは、ヘビのように動く多関節アームの先端にカメラやセンサを取り付け、人やドローンが入れない狭い所や高い所の点検を代わりに行うロボットです。

東京科学大学発のベンチャー企業Hibot(ハイボット)が開発しました。NBKマーケティング株式会社はHibotの代理店として、鉄道・化学・石油・製鉄・病院など幅広い業界に提案しています。関節には精密減速機「ハーモニックドライブ」が使われ、精度の高い動きを実現しています。

▶ 製品の詳細はこちら:フロートアーム(Float Arm)製品ページ

Float ArmでCUI点検が効率的にできる理由

Float Armは、保温材(断熱材)を剥がさずに、その下の腐食を点検できるのが大きな特長です。

  1. コの字型の放射線(X線)透過検査センサで、保温材を剥がさず点検
    アーム先端にコの字型のRTセンサを付け、配管を挟み込むように当てます。保温材の上から内部の腐食状態を調べられるため、解体・復旧の手間と廃材を減らせます。
  2. 足場なしで、高い所の配管に届く
    アームの長さは最大5m(伸長ユニットを付けると7.5m)です。パイプラックや構造物のすき間を通り抜けて配管にセンサを当てられるため、足場を組む時間と費用を大幅に減らせます。
  3. 1台で目視から肉厚測定まで
    高解像度カメラ、超音波(UT)センサ、サーモカメラ、3Dレーザースキャナーなどを付け替えられます。RTによる腐食の確認、UTによる肉厚測定、外観の目視をまとめて行えます。
  4. 点検の半自動化
    本格的な点検の前に3D LiDARで点群データを取ると、アームの経路を計画できます。点検を半自動化し、スピードを上げられます。

定修期間の短縮効果(試算例)

NBKの資料では、足場の組立を含めて7日かかっていた点検が2日になった場合の試算を紹介しています。

  • 短縮できる日数:7日 − 2日 = 5日
  • 生産高が1日1,000万円のプラントなら、約5,000万円の損失を防げる計算です。

※条件を置いた試算例です。実際の効果は、設備や点検の範囲によって異なります。

その他の導入メリット

  • 組立が簡単:関節をねじで留めていくだけで、組立は30分程度です。分解して持ち運べます。
  • 電源工事が不要:業務用バッテリーで動くため、構内のどこでも点検できます。
  • 書類の手続きが簡単:足場工事がないため、工事に伴う安全確認書類などを減らせます。
  • 危険な場所に人が入らずに済む:放射線、有毒ガス、高温など健康リスクのある場所でも点検できます。

Float Armの主な仕様とは

Float Armの仕様とは、アームの長さ、質量、積載量など、どのような現場で使えるかを判断するための基本情報のことです。

項目内容
最大アーム長縦に5m(横に7m:伸長ユニット装着時)
質量40kg(1〜6リンクの合計。ベースと伸長ユニットを除く)
積載量2.5kg
関節数9
使用できるセンサHDカメラ、赤外線カメラ、超音波探傷プローブ、放射線(X線)透過検査センサ、LiDAR、TOFカメラなど
使用環境温度-10℃〜40℃
対応できる最小内径φ480mm

出典:NBKマーケティング Float Arm製品ページ、NBK製品資料


Float Armの導入事例とは

Float Armの導入事例とは、実際のプラントで高所配管の点検に使い、足場工事を減らせた実績のことです。

導入先課題導入効果
BASF(ドイツ)高所のパイプラックの点検で、足場の設置から検査まで多くの時間と費用がかかっていたカメラによる目視や超音波による肉厚測定などを、早く効果的に行えた
三井化学(日本)高所のパイプ棚の点検で、足場工事に時間と費用がかかっていた足場工事が不要になり、時間と費用を大幅に削減。3Dデータをもとにすき間を通り抜け、細かい画像を取得できた

受賞歴として、点検ロボットの普及団体SPRINT Roboticsで1位(2020年)、ロボティクスのイノベーション会議GRIC 2024で最優秀賞を受けています。


CUI点検にロボットを導入する前の確認ポイントとは

導入前の確認ポイントとは、点検の対象や目的に合わせて、ロボットとセンサの組み合わせを事前に決めておくための項目のことです。

  1. 点検対象の配管:場所(高さ、周囲の構造物との距離)、配管の径、保温材の種類と厚さを整理します。
  2. 使うセンサ:保温材の下の腐食を調べるならRT、肉厚の測定ならUTなど、目的に合ったセンサを選びます。
  3. 点検の優先順位:RBIの考え方で、CUIのリスクが高い配管(温度域、サポート部、過去に腐食が見つかった箇所など)から順に決めます。
  4. 作業環境:使用環境温度(-10℃〜40℃)の範囲内か、放射線を使う場合の管理体制が整っているかを確かめます。

具体的な現場でどこまで対応できるかは、現地の条件によって変わります。事前にご相談ください。


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よくある質問(FAQ)

Q1. CUI(保温材下腐食)とは何ですか?
A. 配管などを覆う保温材の内側に水分が入り、金属表面で滞留して進む外面腐食です。外から見えないため、発見が遅れやすいのが特徴です。

Q2. CUI点検は保温材を剥がさないとできませんか?
A. 放射線(RT)透過検査やガイド波超音波検査などを使えば、保温材を剥がさずに腐食しやすい箇所を絞り込めます。Float Armは、コの字型の放射線センサを先端に付けて、保温材を剥がさずに点検できます。

Q3. Float Armを使うと、なぜCUI点検が効率的になるのですか?
A. 保温材の解体・復旧と足場の設置という、CUI点検で特に負担の大きい2つの作業を減らせるためです。最大5m(伸長ユニット装着時7.5m)のアームで高い所の配管に届き、1台で目視、腐食の確認、肉厚測定まで行えます。

Q4. Float Armの組立や準備に時間はかかりますか?
A. 関節をねじで留めていくだけで、組立は30分程度です。業務用バッテリーで動くため、電源工事も必要ありません。

Q5. 導入の相談や見積もりはどこに問い合わせればよいですか?
A. NBKマーケティング株式会社のお問い合わせページからご相談ください。点検対象の条件をお知らせいただければ、対応できるかを確認します。


まとめ

配管のCUI点検は、保温材の解体と足場の設置が大きな負担です。リスクの高い箇所を絞り込み、保温材を剥がさない検査を組み合わせることで効率化できます。

Float Armは、コの字型の放射線センサで保温材を剥がさずに、足場なしで高い所の配管まで点検できるロボットです。CUI点検の時間と費用を減らし、定修期間の短縮にもつながります。

▶ フロートアーム(Float Arm)の詳細・資料ダウンロードはこちら

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