公開日:2026年11月 | NBKマーケティング株式会社


パイプラックの上段を走る配管、配管どうしが密集したすき間、タンクや槽の内部——。工場・プラントには、「点検は必要なのに、人が近づくのが難しい」配管がたくさんあります。 こうした配管を目で見たり、超音波で肉厚を測ったりするには、これまでは足場を組んだり、立入りのための準備をしたりする必要があり、点検そのものより準備に時間と費用がかかることも少なくありませんでした。本記事では、高所・狭小部・危険箇所の配管を点検する方法を整理し、ヘビのように動く多関節ロボット**「フロートアーム(Float Arm)」**を使って、足場なしで配管に近づき、目視検査と肉厚測定を行う方法を、紹介動画とあわせてわかりやすく解説します。

屋外のパイプラックで、高所作業車に取り付けたフロートアームが配管の上を伸びて点検している様子
高所作業車に取り付けたフロートアームが、パイプラックの配管の上をヘビのように伸びて点検しているようす(画像:NBKマーケティング製品ページより)

【注目】高所・狭小部の配管点検を、足場なしで

フロートアーム(Float Arm)は、9つの関節を持つヘビ型の多関節ロボットです。最大5m(伸長ユニット装着時は7.5m)先の配管に近づき、先端の高解像度カメラで目視検査、超音波センサで肉厚測定を行えます。作業者は地上の安全な場所から操作するため、人が高所や狭い場所、危険な場所に入る必要が減ります。
👉 フロートアーム(Float Arm)の詳細を見る


この記事でわかること

  1. 高所・狭小部・危険箇所の配管点検が難しい理由
  2. 配管点検で行う「目視検査」と「肉厚測定」とは
  3. 近づきにくい配管を点検する3つの方法の比較
  4. ヘビ型ロボット「フロートアーム」でできること(紹介動画つき)
  5. フロートアームによる点検の流れと、導入前に確認したいポイント

高所・狭小部・危険箇所の配管点検が難しい理由

高所・狭小部・危険箇所の3つの場所で、配管点検が難しくなる理由をまとめた図
人が近づきにくい場所ほど、点検の準備と安全対策の負担が大きくなります

理由1:高所——足場がないと近づけない

パイプラックの上段や、塔・タンクの上部にある配管は、地上から数m以上の高さにあります。労働安全衛生規則第518条では、高さ2m以上の箇所で墜落の危険がある作業を行うときは、足場を組み立てるなどの方法で作業床を設けなければならないと定めています。

そのため、高所の配管を人が点検するには、多くの場合、足場の組み立てと解体が必要です。点検そのものは短時間でも、足場の準備に日数と費用がかかる——これが高所の配管点検の大きな悩みです。

理由2:狭小部——人の体や腕が入らない

配管が何段にも重なった場所や、構造物の奥にある配管は、人が入り込むすき間がありません。無理な姿勢で点検すると、見たい部分が見えなかったり、測定器をしっかり当てられなかったりして、見落としや測定ミスにつながります。 保温材や架台がじゃまになり、点検したい部分にそもそも手が届かないこともあります。

理由3:危険箇所——人が入ること自体にリスクがある

タンクや槽の内部、ピットなどは、酸素が足りなかったり、有害なガスがたまっていたりするおそれがあります。酸素欠乏症等防止規則では、空気中の酸素の濃度が18%未満の状態を「酸素欠乏」と定め、こうした場所での作業には、酸素濃度の測定や換気などの対策を求めています。

また、高温の設備の近くや、生命の危険・健康被害のおそれがある極限環境では、そもそも人が近づく時間をできるだけ短くしたいものです。「人が入らずに点検できる方法」があれば、安全面の負担を大きく減らせます。


配管点検で行う「目視検査」と「肉厚測定」とは

配管の点検では、主に次の2つを組み合わせて、配管の状態を確かめます。

目視検査:外から見て異常を見つける

目視検査は、配管の表面を目で見て、さび・腐食、塗装のはがれ、変形、漏れのあと、保温材の傷みなどを確認する点検です。カメラで撮影して記録すれば、前回の点検と見比べることもできます。

肉厚測定:配管の「残りの厚さ」を測る

配管は、内側を流れる液体やガスの影響で、少しずつ内側からも薄くなっていきます(減肉)。内側の減肉は外から見てもわかりにくいため、超音波厚さ計を使って配管の厚さを測ります。超音波を配管の外側から当て、内側の面で反射して戻ってくるまでの時間から、残りの厚さを計算するしくみです。

肉厚測定は、同じ場所を定期的に測り、前回からどれだけ薄くなったかを比べることで、配管の交換時期を判断する材料になります。そのため、「測定器を配管にしっかり当てられること」と「毎回同じ場所を測れること」が大切です。

点検わかること近づきにくい場所での課題
目視検査外面のさび・腐食・変形・漏れのあと遠くからでは細かい異常が見えない
肉厚測定内側からの減肉を含む、残りの厚さセンサを配管に直接当てる必要がある

特に肉厚測定は、センサを配管に当てる「接触」が必要なため、遠くから撮影するだけの方法では行えません。ここが、高所・狭小部の配管点検を難しくしている大きな理由です。


近づきにくい配管を点検する3つの方法の比較

高所・狭小部の配管点検の3つの方法(足場+人、ドローンや棒の先のカメラ、ヘビ型ロボット)を比較した図
「近づいて測る」点検ができるかどうかが、方法を選ぶ大きなポイントです

方法目視検査肉厚測定準備・安全面
A:足場を組んで人が点検◎ 近くで見られる◎ 測れる足場の組立・解体に時間と費用。高所・狭所での作業リスク
B:ドローン・長い棒の先のカメラ○ 離れて撮影できる△ 接触する測定は難しい狭いすき間には入りにくい
C:ヘビ型ロボット(フロートアーム)◎ 近づいてズーム撮影◎ 超音波センサを当てて測れる足場不要。作業者は地上から操作

方法Aは確実ですが、足場の準備と人の安全確保に大きな負担がかかります。方法Bは高所の外観を短時間で確認するのに便利ですが、配管のすき間に入り込んだり、センサを当てて肉厚を測ったりするのは苦手です。

**方法C(ヘビ型ロボット)**は、関節をくねらせて配管のすき間を縫うように進み、点検したい場所まで近づいて、見ることも測ることもできるのが特長です。足場を組まずに済むため、点検の準備にかかる時間と費用を大きく減らせます。


ヘビ型ロボット「フロートアーム(Float Arm)」とは

フロートアーム(Float Arm)とは、ハイボット(HiBot)社が開発した、ヘビのように動く多関節型の点検ロボットです。 極限環境(過酷な環境、生命の危険や健康被害が生じうる環境)での定期点検(定修)を効率化するために使われ、人が入れない狭い空間の目視点検や、配管の肉厚測定・温度測定・3次元測定などを、人に代わって行えます。NBKマーケティングは、フロートアームを提供しています。

動画で見るフロートアーム

フロートアームの動きや、パイプラック・タンク内部での使い方は、こちらの紹介動画でご覧いただけます。

<div style="position:relative;width:100%;padding-top:56.25%;margin:12px 0;">
<iframe src="https://www.youtube.com/embed/VUkXXNxywsM" title="フロートアームご案内動画" style="position:absolute;top:0;left:0;width:100%;height:100%;border:0;" allow="accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture; web-share" referrerpolicy="strict-origin-when-cross-origin" allowfullscreen></iframe>
</div>

フロートアームご案内動画(YouTube・hibot Corporation公式「Float Arm - long reach arm for inspection and maintenance」):https://www.youtube.com/watch?v=VUkXXNxywsM

動画では、主に次のような場面が紹介されています。

  • 圧力容器やタンクの内部・外部の点検:入口からアームを差し込み、中のようすを確認します
  • 高所・パイプラックの点検:何段にも重なった配管のすき間を縫って、奥の配管に近づきます
  • 主な構成部品とセンサ:モジュール式のリンク(関節部)や、先端のエンドエフェクタ、検査カメラ・超音波センサ・LiDARなどが紹介されています
  • 操作とデータ:ゲームコントローラーのような操作器で動かし、点検結果はデジタルデータとして保存できます

フロートアームが高所・狭小部・危険箇所の点検に向いている理由

  1. 足場なしで高所に届く:最大アーム長は5m(伸長ユニット装着時は7.5m)。高所作業車などにベースを取り付けて使えるため、足場の組み立て・解体が不要になります。
  2. ヘビのように、すき間を縫って進める:関節は9つ。関節には「ハーモニック・ドライブ」という精密歯車システムが採用されており、高精度な動きで、配管の密集した場所にも入り込めます。
  3. 人が危険な場所に入らずに済む:作業者は地上の安全な場所からカメラの映像を見ながら操作します。タンク内部や極限環境に人が入る時間を減らせます。
  4. 持ち運びやすく、電源工事がいらない:軽量化された持ち運びやすい仕様で、地上から業務用バッテリーで電源を供給するため、電源工事が不要です。ドローンより長い時間動かせます。

フロートアームでできる「目視検査」と「肉厚測定」

フロートアームの先端に付けられる主なデバイス(検査カメラ、超音波センサ、ナビゲーションカメラ、X線透過検査センサ、サーモカメラ、3Dレーザースキャナー)をまとめた図
先端のデバイスを付け替えることで、1台でさまざまな点検ができます

目視検査:高解像度の検査カメラで近づいて見る

フロートアームの先端には、高解像度の検査カメラを付けられます。ハイボット社の製品資料(英語版)によると、検査カメラはフルHD(1920×1080)・光学30倍ズームです。点検したい配管のすぐ近くまでカメラを運べるため、さび・腐食・漏れのあとなどの細かい異常も、近くから確認できます。

アームの途中や先端には複数のナビゲーションカメラもあり、アームの位置や周りのすき間を確かめながら、配管や構造物にぶつけないように進めます。

肉厚測定:超音波センサを配管に当てて測る

先端には、超音波検査(UT:Ultrasonic Testing)センサも付けられます。同資料では、平らな面と、直径2インチ以上の配管の金属の肉厚を測定できるとされています。足場を組まなくても、高所や奥まった場所の配管にセンサを当てて、残りの厚さを測れるのが大きな特長です。

測定結果はデジタルデータとして保存できるため、前回の測定値と比べて減肉の進み具合を確認するといった管理にも役立ちます。

そのほかの点検にも使える

フロートアームの先端には、次のデバイスも付けられます(デバイスの拡張は継続的に行われています)。

  • コの字型の放射線(X線)透過検査(RT:Radiographic Testing)センサ:保温材を外さずに、内側の腐食のようすを確認
  • サーモカメラ:配管や設備の温度を確認
  • 3Dレーザースキャナー:周りの形を3次元で測定。3D LiDARを利用することで点検の半自動化も可能

フロートアームの主な仕様

項目内容
最大アーム長5m(伸長ユニットを装着の場合は7.5m)
質量40kg(1〜6リンクのトータル。ベースと伸長ユニットを除く)
積載量2.5kg
関節数9
使用可能なセンサーHDカメラ、赤外線カメラ、超音波探傷プローブ、ライダー、TOFカメラなど
検査カメラ1920×1080、光学30倍ズーム(メーカー資料)
防じん・防水性能IP65(メーカー資料)
使用温度範囲-10℃〜40℃(メーカー資料)

※ 最大アーム長・質量・積載量・関節数・使用可能なセンサーはNBKマーケティング製品ページ、検査カメラ・IP等級・使用温度範囲はハイボット社の製品資料(英語版)によります。

👉 フロートアーム(Float Arm)の詳細・お問い合わせはこちら


フロートアームによる配管点検の流れ(例)

フロートアームによる配管点検の流れ(設置、アクセス、目視検査、肉厚測定、記録・報告)を示した図
作業者は地上の安全な場所から操作します。実際の手順は現場の条件によって異なります

  1. 設置:高所作業車などにフロートアームのベースを取り付けます。リンクは現場でつなぎ合わせられます
  2. アクセス:ナビゲーションカメラの映像を見ながら、配管のすき間を縫って点検箇所へ近づきます
  3. 目視検査:ズームできる検査カメラで、さび・腐食・漏れのあとなどを確認し、撮影します
  4. 肉厚測定:超音波センサを配管に当てて、残りの厚さを測ります
  5. 記録・報告:画像や測定値をデジタルデータとして保存し、報告書の作成や前回との比較に使います

導入前に確認したい4つのポイント

ポイント1:点検したい配管の場所と、届く距離

点検したい配管が、設置場所からどのくらい離れているか、途中にどんな障害物があるかを確認します。**フロートアームは最大5m(伸長ユニット装着時7.5m)**なので、高所作業車などの置き場所とあわせて検討しましょう。

ポイント2:必要な点検の内容

目視検査だけか、肉厚測定も必要か、保温材の下の腐食も見たいかによって、先端に付けるデバイスが変わります。**「何を、どの精度で確認したいか」**を整理しておくと、相談がスムーズです。

ポイント3:配管の太さ・表面の状態

超音波による肉厚測定は、配管の太さや表面の状態(さび・塗装・保温材の有無)によって、測り方や事前の準備が変わります。点検する配管の仕様を、あらかじめ確認しておきましょう。

ポイント4:設置場所の条件(屋外の天候・防爆エリアかどうか)

屋外で使う場合は、気温や風の条件を確認します。また、石油・化学プラントでは、点検場所が防爆エリアにあたる場合があります。防爆エリアで電気機器を使うには、その区分に合った対策が必要です。 点検したい場所の区分を、安全管理部門と事前に確認しておきましょう。

「この配管にフロートアームは届くか」「どのデバイスを付ければよいか」など、導入前のご相談もNBKマーケティングで承っています。

👉 お問い合わせ・お見積りはこちら


関連コラム


よくある質問(FAQ)

Q1. ヘビ型ロボットとは何ですか?
A. たくさんの関節を持ち、ヘビのように体をくねらせて動けるロボットのことです。まっすぐなアームでは届かない、配管のすき間や奥まった場所にも入り込めるのが特長です。フロートアームは9つの関節を持つヘビ型の点検ロボットです。

Q2. 足場を組まずに高所の配管を点検できますか?
A. フロートアームなら可能です。高所作業車などにベースを取り付け、アームを最大5m(伸長ユニット装着時7.5m)まで伸ばして、足場なしで高所の配管に近づいて点検できます。

Q3. フロートアームで配管の肉厚は測れますか?
A. 測れます。先端に超音波検査(UT)センサを付けて、配管にセンサを当てて肉厚を測定します。メーカー資料では、平らな面と直径2インチ以上の配管の肉厚を測定できるとされています。

Q4. 目視検査はどのくらい細かく見られますか?
A. メーカー資料によると、検査カメラはフルHD(1920×1080)・光学30倍ズームです。配管の近くまでカメラを運べるため、細かいさびや腐食も確認しやすくなります。

Q5. タンクの内部など、人が入りにくい場所も点検できますか?
A. フロートアームは、人が入れない狭い空間の目視点検などを代わりに行うためのロボットです。紹介動画でも、圧力容器やタンクの内部を点検する場面が紹介されています。実際に使えるかどうかは、入口の大きさや内部の条件によって変わるため、事前にご相談ください。


まとめ

  • 高所・狭小部・危険箇所の配管点検は、足場の準備(安衛則第518条)、人が入れないすき間、酸素欠乏などのリスクがあり、準備と安全対策の負担が大きい
  • 配管点検では、外面を見る目視検査と、残りの厚さを測る肉厚測定を組み合わせる。肉厚測定はセンサを当てる「接触」が必要
  • **ヘビ型ロボット「フロートアーム」**なら、足場なしで最大5m(伸長ユニット装着時7.5m)先の配管に近づき、高解像度カメラでの目視検査と、超音波センサでの肉厚測定ができる
  • 作業者は地上から操作するため、人が高所・狭い場所・危険な場所に入る機会を減らせる
  • 導入前には、届く距離・必要な点検・配管の仕様・設置場所の条件を確認する

近づきにくい配管の点検を、より安全に、より短い準備で行いたい方は、お気軽にNBKマーケティングへご相談ください。

👉 フロートアーム(Float Arm)の詳細を見る

当社サービスに関するご質問、お見積のお申し込みなど
お気軽にお問い合わせください